こんにちは、ママ税理士のゆかりです🌸(ゆめつばさ会計)。
「自宅で仕事をしているから、家賃や電気代も経費にできるって聞いたけど……どこまでOKなの?」
自宅で働く個人事業主・フリーランスの方から、いちばんよくいただく質問のひとつです。
リビングの一角で仕事をして、スマホで連絡を取って、家事や育児の合間に作業する——そんな「暮らしと仕事が混ざった」働き方だと、どこまでが経費でどこからがプライベートなのか、線引きが本当に悩ましいですよね。
この記事では、家賃・電気・スマホの3つを例に、「家事按分(かじあんぶん)」の考え方と、現実的な割合の決め方を、難しい税法用語を使わずにまとめました。
そもそも「家事按分」って何?
家事按分とは、一つの支出を「仕事で使った分」と「生活で使った分」に分けて、仕事の分だけを経費にすることです。
自宅兼事務所の場合、家賃も電気代もスマホ代も、まるごと「仕事のため」とは言えませんよね。生活でも使っているからです。そこで、合理的な基準で「このうち○%は仕事の分」と分けて、その分だけを経費にします。これが家事按分です。
ポイントは2つだけ。
- ① 仕事で使っている事実があること
- ② その割合に、自分で説明できる根拠があること
税務署に「なぜこの割合なんですか?」と聞かれたとき、「だいたいこれくらい使っているので」ではなく、面積・時間・台数など、数字で説明できるようにしておくのが大事です。
なお、経費の考え方は「個人事業主」と「法人」で少し違います。法人はもともと“事業のための存在”なので支出は基本的に仕事用と考えやすいのですが、個人事業主は生活と事業が同じお財布のため、まず「これってプライベートな支出じゃない?」と疑うところから始まります。その分、個人事業主のほうが経費にするハードルはやや高め——とイメージしておくと、按分の感覚がつかみやすくなります。
① 家賃——「面積」で分けるのが基本
賃貸住宅で自宅の一部を仕事に使っている場合は、仕事に使っている面積の割合で按分するのがいちばん無難です。
たとえば、
- 自宅の総面積:50㎡
- 仕事専用にしている部屋・スペース:10㎡
なら、按分割合は 10㎡ ÷ 50㎡ = 20%。
家賃が月100,000円なら、100,000円 × 20% = 20,000円が毎月の経費になります(年間240,000円)。
「専用の仕事部屋なんてない、リビングの一角だけ」という方も多いと思います。その場合は、実際に作業に使っているスペース(机まわり)の広さで考えればOKです。リビング全体ではなく、あくまで「仕事に使っている部分」で見積もりましょう。
※持ち家の場合は、住宅ローン控除との兼ね合いで「経費にしない方が得」になるケースもあります。判断が分かれるところなので、迷ったらご相談ください。
② 電気代——家賃より高めでもOK。ただし「使った量」で考える
電気代も、自宅で仕事をしていれば一部を経費にできます。
ここで大事なのは、電気代は家賃と性質が違うということ。家賃は「空間(面積)」のコストですが、電気代は「使った量」のコストです。だから、家賃の面積割合(例:20%)にムリに合わせる必要はありません。
日中ひとりで在宅して、フルタイムで仕事をしているなら、仕事中に使う電気(照明・パソコン・仕事部屋の冷暖房など)はそれなりの量になります。この場合は時間で按分するほうが実態に合っていて、家賃より高い割合になるのが自然です。
たとえば「平日は1日8時間くらい仕事をしている」なら、起きている時間(仮に16時間)で見て 8 ÷ 16 = 50%。ここから次に説明する“生活分”を少し差し引いて、40〜50%くらいが、フル在宅ワーカーの現実的な目安です。
ただし、気をつけたいのが「仕事と関係なく使っている電気」。
- 冷蔵庫(24時間ずっと動いている)
- 夜や休日、家族が使っている分
- 料理・お風呂・洗濯などの生活そのもの
こうした分まで仕事に入れてしまうと、「冷蔵庫の電気も仕事ですか?」と聞かれたときに説明できません。この“生活のベース部分”は除いて考えるのがポイントです。逆にそこさえ押さえておけば、フル在宅で40〜50%は十分に説明できる割合になります。
水道代・ガス代は、料理を提供する事業などでなければ、基本的に経費にしない方が無難です。「仕事中にお茶を飲む程度」では、按分の根拠が弱いためです。
③ スマホ・通信費——「使用時間」や「台数」で分ける
スマホやインターネット代も、仕事で使っていれば按分できます。
- スマホ1台を仕事・プライベート兼用 … 使っている時間の割合で按分(例:50%)。仕事の連絡が多い方なら割合を高めにしても、根拠を説明できればOK
- 2台持ち(仕事用とプライベート用を分けている) … 仕事用の1台は基本100%経費にできます
- 自宅のWi-Fi(インターネット回線) … 家族も使うなら、使用時間や仕事割合で按分(例:30〜50%)
スマホは「2台に分ける」と按分の悩みがなくなり、税務署にも説明しやすくなります。仕事の連絡が増えてきたら、思い切って分けてしまうのも一つの手です。
家賃やスマホ代を「家族(配偶者)が払っている」場合は?
「家賃も電気代もスマホ代も、引き落としは配偶者の口座から」——共働きでも片働きでも、よくあるケースですよね。
結論からいうと、生計を一(いつ)にしている家族——つまり同じお財布で暮らしているご夫婦なら、支払い名義が配偶者でも、あなたの仕事で使っている分は経費にできます。
考え方はこうです。生活費を共有している家庭では、その支出は「家庭として負担しているもの」とみなされます。だから、契約や引き落としが配偶者名義の家賃・水道光熱費・通信費でも、あなたが仕事に使っている割合分は、あなたの事業の経費として按分してかまいません。
ポイントは2つ。
- 生計を一にしていること(同居して家計を共にしている、など)
- 按分の根拠は、これまでと同じく面積・時間・使用割合で説明できること
逆に、配偶者と家計が完全に別(生活費はきっちり割り勘で、それぞれ独立したお財布で暮らしている)ような場合は、考え方が変わることがあります。判断に迷うときはご相談ください。
なお、配偶者に「家賃を払ってくれているお礼」としてお金を渡しても、それ自体は経費になりません(生計を一にする家族へ支払う対価は、原則として経費にできないルールがあるためです)。あくまで“家庭として負担した支出のうち、仕事で使った割合”を経費にする、と覚えておきましょう。
按分割合の「目安」一覧
迷ったときの、ざっくりした目安です(あくまで一般的なケース。実態に合わせて調整してください)。
- 家賃 … 仕事スペースの面積割合(例:20%前後)
- 電気代 … 「使った量」で考える。フル在宅なら時間按分で40〜50%もOK(生活ベース分は除く)
- スマホ(兼用) … 50%前後/2台持ちなら仕事用は100%
- Wi-Fi・通信費 … 30〜50%
大事なのは「いくらにするか」より、その割合に自分で説明できる根拠があるかです。
按分に、万人に合う「正解の割合」はありません。働き方も住まいも一人ひとり違うのですから、当然です。だからこそ、自分の暮らし方・働き方をいちばん知っているあなた自身が、その基準を説明できることが何より大事になります。
やってはいけないこと
- 生活費をまるごと経費にする … 「自宅で働いているから家賃は全額経費」はNG。生活で使っている分は必ず除きます。
- 根拠なく割合を決める … 「なんとなく半分」ではなく、面積・時間など数字で説明できる基準を持ちましょう。
- その年だけ都合よく割合を変える … 働き方が変わっていないのに割合をコロコロ変えると、不自然に見えます。基準は毎年そろえるのが基本です。
按分は「節税のためにできるだけ多く」ではなく、実態に合った割合を、根拠とともに記録しておくのが正解です。領収書や、面積・間取りのメモを残しておくと安心です。
まとめ
- 家事按分は「仕事で使った分」だけを経費にすること
- 家賃は面積、電気は「使った量(時間)」、スマホは使用時間や台数で分ける
- 電気は家賃より高めでもOK。フル在宅なら40〜50%も説明できる(生活ベース分は除く)
- 割合の目安より大事なのは「自分で説明できる根拠」。万人に合う正解の割合はない
- 個人事業主は「プライベートな支出では?」と疑うところから始まる(法人より少しハードル高め)
- 支払い名義が配偶者でも、生計を一にしていれば仕事で使った分は按分できる
- スマホは2台持ちにすると按分の悩みがなくなる
- 生活費の全額計上はNG。実態に合った割合を記録しておく
自宅で働いていると、暮らしと仕事の境目があいまいになりがちです。だからこそ、按分のルールを最初に決めておくと、確定申告のたびに迷わずにすみますよ。
「私のこの働き方だと、どれくらいが妥当?」と気になった方は、お気軽にご相談ください。あなたの暮らし方・働き方に合わせて、無理のない按分の決め方を一緒に考えます😊
記事の内容は、あくまで一般的なケースです。「自分の場合はどうなる?」という疑問こそ、経営者一人ひとりで答えが変わります。小さなことでも、お気軽にお問い合わせください。


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