こんにちは、ママ税理士のゆかりです🌸(ゆめつばさ会計)。
「事業計画?うちは感覚でやってきて、それなりにうまくいってるので大丈夫です」
「金融機関から融資を受けるときに事業計画書の提出を求められて、しぶしぶ作りました。それ以降は一度も見返していません」
面談でこう言われることが、実はよくあります。感覚派も、融資のために”仕方なく”作った派も、根っこにある考えは同じです。事業計画は、自分には関係のないもの——そう感じている、ということです。
正直に言うと、その感覚は間違っていないことも多いです。ひとりで起業した方は、日々の判断が早く、市場の変化にも敏感。感覚だけで軌道に乗せてきた実力は、本物だと思います。融資のために作った計画書も、金融機関に提出することがゴールになってしまえば、その後見返さなくなるのは自然なことです。
だからこの記事は、「今すぐ分厚い事業計画を作りましょう」という話ではありません。感覚経営そのものを否定するつもりもありません。ただ、「自分には関係ない」「もう提出し終わったから終わり」で片づけてしまうには、見えにくい”盲点”が3つあるということを、今日はお伝えしたいと思います。
盲点① 「今のところ順調」の”今のところ”がいつまで続くかわからない
感覚経営がうまくいっているとき、多くの場合「なんとなく忙しい」「なんとなくお金が回っている」という実感がベースになっています。
でも、この実感には天井があります。売上が今の2倍になったとき、経費や税金の負担がどう変わるか、感覚だけで正確に言い当てられる方は多くありません。「気づいたら想像より税金が高かった」「思ったより手元に残らなかった」——これは感覚経営でよく起きるつまずきです。
また10年で世の中は驚くほど変わります。コロナ、AI、キャッシュレス決裁、サブスクリプションサービス…
数字がなくても走れているうちは問題になりません。でも、成長のスピードが上がったときほど、感覚と現実のズレは大きくなります。
盲点② 「なんとなく不安」の正体が、あとになるまでわからない
感覚経営の方によく聞くのが、「なんとなくお金の不安がある」という言葉です。
これ自体は、実はとても健全な感覚です。問題は、その不安の正体が「売上が足りないのか」「経費が多すぎるのか」「税金の支払いに備えられていないだけなのか」——分解されないまま放置されがちなことです。
数字に一度も翻訳しないままだと、不安の正体がわからず、ただ漠然と不安なまま日々を過ごすことになります。
盲点③ 「なんとなく良い判断」を、あとから検証できない
感覚がすぐれている方ほど、「今回はこっちにしよう」という判断がだいたい当たります。だからこそ、数字を作る手間を省いてしまいがちです。
でも、判断の精度を上げていくには、「なぜその判断がうまくいったのか/いかなかったのか」を振り返る材料が必要です。感覚だけで判断していると、うまくいったときも「なんとなく良かった」で終わってしまい、次に活かす学びが積み上がりにくくなります。
数字という形に残しておくことで、はじめて「振り返り」ができるようになります。
事業計画は「縛るもの」ではなく「自己分析」
「計画」と聞くと、決めたことを守らなければいけないもの、というイメージを持たれがちです。でも私がお伝えしたい事業計画は、そういうものではありません。
事業計画のいちばんの価値は、実は「できあがった計画書」そのものよりも、それを作る過程にあります。数字や言葉に落とし込もうとすると、いやでも「自分(自社)の強みは何か」「弱みはどこにあるか」に向き合うことになります。同じように、市場や競合の状況を書き出そうとすると、なんとなく見て見ぬふりをしていた外部リスク——競合の動き、仕入れ値の変動、法改正の影響——が浮かび上がってきます。
つまり事業計画づくりとは、行き先を決める作業である以上に、自分と自社を映す”自己分析”の作業なのです。融資のために一度作って終わり、にしてしまうのはもったいない使い方です。守るための計画ではなく、気づくための計画。そう捉えると、少し向き合い方が変わってきませんか?
いきなり分厚い計画でなくていい
「じゃあ計画を作らなきゃ」と思っても、身構える必要はありません。市場分析も競合調査も、最初から必要なわけではないのです。
必要なのは、「1年後どうなっていたいか」「そのために必要な利益はいくらか」「その利益に必要な売上はいくらか」——このくらいシンプルな数字の地図で十分です。
「どうせ計画通りにいかないから計画はいらない」という方へ
「計画を立てても、結局その通りにいかないから意味がない」——これもよく聞く声です。たしかに、事業計画がそのまま現実になることは稀です。市場は動きますし、思わぬチャンスもピンチも起こります。
でも、事業計画の目的は「計画通りに進めること」ではありません。むしろ、計画と現実のズレに気づき、「なぜズレたのか」「次はどう手を打つか」を考える材料にすることこそが本来の目的です。計画は当たり外れを競う予想ではなく、進みながら軌道修正するための土台。作って終わりではなく、ズレたときにこそ価値を発揮するものだと思ってください。
まとめ
感覚で経営してきたこと、それ自体は誇っていい実力です。融資のために一度作った計画書も、決して無駄ではありません。ただ、その感覚や過去の計画書を活かしきるためにこそ、たまに数字と向き合い、自分自身を見つめ直す時間を作ってみてほしいのです。
「今のところ順調」の先に何があるか。「なんとなく不安」の正体は何か。「なんとなく良い判断」はなぜ良かったのか。数字にしてみると、案外あっさり見えてくるものです。
ゆめつばさ会計は、感覚を否定せず、その感覚を数字で裏づけるお手伝いをしたいと思っています。「うちは感覚でやってきたから」という方こそ、一度お話を聞かせてください。「事業計画を一度ちゃんと立ててみたい」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。
記事の内容は、あくまで一般的なケースです。「自分の場合はどうなる?」という疑問こそ、経営者一人ひとりで答えが変わります。小さなことでも、お気軽にお問い合わせください。


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