こんにちは、ママ税理士のゆかりです🌸(ゆめつばさ会計)。
「開業して売上は少しずつ立ってきた。でも、このあと何のお金が、いつ、どれくらい出ていくのかがまったく読めなくて不安…」
独立したばかりの方から、いちばん多く聞くお悩みがこれです。会社員のころは、税金も社会保険もお給料から自動で天引きされていて、正直あまり意識せずに済んでいました。ところが独立すると、それらが自分で・時間差で・ある日まとめてやってきます。
会社を辞めて独立した方には1年目から住民税の納付書が届きますし、開業1年目に稼いだ分の税金は2年目にドカッと来る——これが独立あるあるの落とし穴なんです。
そこで今回は、開業1年目からの「払うお金」を、いつ来るか(時系列)で並べた”お金のカレンダー”にまとめました。先に全体像を知っておけば、「気づいたら納税資金がない!」を防げます。保存版としてお使いくださいね😊
大前提:開業1年目は「税金が時間差で来る」
まず、いちばん大事な考え方を1つだけ。
税金の多くは「前の年の所得」に対してかかり、翌年に請求が来ます。
つまり、開業して頑張って稼いだ1年目の分は、そのほとんどが2年目にまとめて請求されるということ。だから1年目は「あれ、思ったより出ていかないな」と油断しがちで、2年目に「なんでこんなに!?」と青ざめる——この時間差こそが最大の注意点です。
① 開業したらすぐ:国民健康保険・国民年金・住民税
会社員から独立した方は、まずここから。
- 国民健康保険:市区町村へ。前年の所得をもとに計算され、開業後わりとすぐに納付書が届きます。年間の保険料を6月〜翌3月ごろに分割して払うイメージです。
- 国民年金:毎月、定額を納付します(金額は年度で変わります)。
- 住民税(会社員時代の分):これが意外な伏兵です。住民税は前年の所得に対してかかるため、会社を辞めた方には、1年目から「会社員時代のお給料」に対する住民税の納付書が届きます。 給料からの天引きが止まり、自分で払う方式(普通徴収)に切り替わるためです。売上がまだ立ち上がっていない時期に来るので、1年目の住民税負担は正直、重いです。必ず織り込んでおきましょう。
いずれも「毎月・毎年かかる固定費」です。会社員時代は会社が半分払ってくれていましたが、独立後は全額が自己負担になる点に、最初は驚くかもしれません。
💡 会社を辞めた直後は「前職の健康保険を任意継続する」選択肢もあります。国保と任意継続、どちらが安いかはケースによるので、比較して決めるのがおすすめです。
② 開業した年の間:実は”来ないもの”が多い
ここが1年目のありがたいところ。次の2つは、1年目は基本的に来ません。
- 所得税の予定納税:前年の所得をもとに前払いする制度なので、前年に事業所得がない開業1年目は、原則として通知が来ません。(=来るのは2年目から。後述⑥)
- 消費税:2年前の売上をもとに判定するため、開業1年目・2年目は原則として免税です。
⚠ ただし例外があります。インボイス(適格請求書発行事業者)に登録した場合は、1年目から消費税の納税義務が発生します。 取引先からインボイスを求められて登録した方は、「消費税も出ていく」前提で資金を残しておきましょう。
とはいえ「1年目は何も来ない」わけではありません。①のとおり、会社を辞めた方には住民税と国保が1年目からしっかり来ます。ここを混同しないでくださいね。
③ 開業翌年 2/16〜3/15:初めての確定申告と所得税の納付
開業してむかえる、最初の山場です。
- 所得税の確定申告:2月16日〜3月15日に申告し、同じ期限までに所得税を納付します。
- 口座からの振替納税を選んでおくと、引き落としが4月中旬ごろに後ろ倒しになり、少し資金にゆとりが持てます。
- インボイス登録などで消費税の課税事業者になっている方は、3月31日までに消費税の申告・納付も必要です。
1年目の利益がしっかり出た方ほど、この納税額は大きくなります。「申告して終わり」ではなく「払って終わり」——ここを見落とさないでくださいね。
④ 開業翌年 6月〜:住民税の”第2波”が来る
独立していちばん「聞いてないよ!」となりやすいのが住民税です。
- 住民税は前年の所得に対してかかり、その通知(納付書)が翌年6月ごろに届きます。
- 会社を辞めた方は、①のとおり1年目は「会社員時代のお給料分」を払っていますが、2年目の6月からは「開業1年目の事業の所得分」に切り替わってやってきます。
- 納付は普通徴収だと、6月・8月・10月・翌1月の年4回(または一括)です。
つまり、開業1年目にバリバリ稼いだ分の住民税は、2年目の6月にまとめてやってくるわけです。この”1年遅れ”の仕組みを知らずに使い切ってしまうと、資金繰りが一気に苦しくなります。
⑤ 開業翌年 8月・11月:個人事業税
事業が軌道に乗ってくると、新しく登場するのが個人事業税です。
- 事業所得が年間290万円(事業主控除)を超えた場合にかかり、都道府県から通知が届きます。
- 納付は8月・11月の年2回。こちらも前年の所得に対してかかるので、登場するのは基本的に開業翌年からです。
「そんな税金あったの?」と驚く方も多いのですが、稼げるようになった証でもあります。
⑥ 開業翌年 7月・11月:所得税の予定納税(2年目からの前払い)
②で「1年目は来ない」とお伝えした予定納税が、2年目から登場します。
- 前年の所得税額(予定納税基準額)が15万円以上だと、その3分の1ずつを7月・11月に前払いする仕組みです。
- これは「来年の税金の先払い」なので、払った分は翌年の確定申告で精算されます。損をするわけではないのですが、手元からお金が出ていくタイミングが増える点は押さえておきましょう。
つまり開業2年目は、「1年目分の所得税」(3月)に加えて、その約3分の2にあたる予定納税(7月・11月)も払う——ざっくり言うと、1年目の所得税の約1.7倍ものお金が”所得税”として出ていくイメージです。ここを知らないと、2年目の資金繰りは本当に苦しくなります。
落とし穴は「2年目の重なり」。1年目のうちに備える
ここまでを時系列で見るとわかるとおり、開業2年目は、
- 確定申告での所得税の納付(3月)
- 住民税(6月〜)
- 予定納税(7月・11月)
- 個人事業税(8月・11月)
これらが次々と、時には重なってやってきます。1年目に「思ったより出ていかなかった」お金は、2年目にまとめて請求されているだけなのです。
だからこそ、1年目のうちからの備えが効きます。おすすめは、とてもシンプルです。
💰 利益の一部を「税金・保険用の別口座」に先によけておく。
目安として、利益の3〜4割を”最初からなかったお金”として分けておくと、2年目の重なりに慌てずに済みます。(正確な割合は所得や家族構成で変わるので、心配な方は一度シミュレーションを。)
まとめ:開業1年目からの”お金のカレンダー”
- 開業したらすぐ:国民健康保険・国民年金(会社を辞めた方は全額自己負担に)。さらに会社を辞めた方は1年目から住民税(会社員時代のお給料分)も
- 開業1年目の間:所得税の予定納税・消費税は原則なし(※インボイス登録者は消費税あり)
- 翌年2/16〜3/15:初めての所得税の確定申告と納付(振替納税なら引き落としは4月ごろ)。消費税の課税事業者は3/31までに消費税の申告・納付も
- 翌年6月〜:開業1年目の所得分の住民税が”1年遅れ”で登場(年4回 or 一括)
- 翌年8月・11月:個人事業税(事業所得290万円超のとき)
- 翌年7月・11月:所得税の予定納税(前年の税額15万円以上のとき)
- こわいのは2年目の重なり。1年目のうちに利益の3〜4割を別口座へ
「税金が読めない」という不安の正体は、多くの場合この時間差です。カレンダーとして先に全体像を持っておけば、独立後のお金はぐっと怖くなくなります。
「自分の場合、2年目にいくらくらい必要になりそう?」——気になった方は、お気軽にご相談くださいね😊
そして、申告は「ゴール」ではなく「スタート」です
ここまで、無事に申告を終えるための逆算をお伝えしてきました。でも、少しだけ先の話もさせてください。
確定申告は、終わらせて“ホッ”で終わりにしなくていいんです。
数字が固まった申告直後、4月〜5月は、実は1年の中でいちばん経営を考えやすい時期。「1年分の結果」が目の前にそろっているからです。たとえば——
・今の生活を続けるのに、本当はいくら売上があればいいのか
・目標の売上額と、今の経費のバランスは取れているか
・惰性で払っている経費や、逆に投資すべきところはないか
こうした数字を、「次の一年の作戦に変える見直し」を一度しておくと、来年の景色がまた変わります。
当事務所では、申告のお手伝いだけでなく、こういう「申告のその先」のご相談も受け付けています。「作って出す」で終わりにするのは、少しもったいないな、と思うのです😊
記事の内容は、あくまで一般的なケースです。「自分の場合はどうなる?」という疑問こそ、経営者一人ひとりで答えが変わります。小さなことでも、お気軽にお問い合わせください。


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