こんにちは、ママ税理士のゆかりです🌸(ゆめつばさ会計)。
「食料品の消費税が1%になるらしい」──最近ニュースでよく見かけるこの話題、気になっている方も多いのではないでしょうか。
政府は、2027年4月から飲食料品の消費税率を今の8%から1%に引き下げる案を検討しています(2年間の期間限定)。
※この記事を書いている2026年7月時点では、まだ「検討中の案」であって正式決定ではありません。今後の国会での法案審議によって内容が変わる可能性があります。
とはいえ、もし実現すれば家計にも事業者にも影響の大きい話。そして「どこまでが1%で、どこからが10%なのか」という線引きは、実はけっこう紛らわしいんです。
この記事では、身近な例を使って「1%と10%の分かれ目」をわかりやすく解説します。
なぜ0%じゃなくて1%なの?
「どうせ下げるならゼロにすればいいのに」と思いますよね。
報道によると、理由はレジやシステムの改修期間です。税率を0%にすると、レジや会計システムの大がかりな改修に1年程度かかるのに対し、1%なら数か月で対応できるのだそうです。「少しでも早く家計を助けるために、あえて1%」というわけですね。
税理士の視点:実は「レジの問題」だけではありません
もう一歩踏み込むと、0%と1%の違いは、消費税法の計算の仕組みそのものに関わる問題でもあります。
消費税には「売上で預かった消費税から、仕入で支払った消費税を差し引いて納税する」という仕組み(仕入税額控除)があります。税率を0%にする場合、消費税法上は「0%で課税する(ゼロ税率)」のか「非課税にする」のかという設計の分かれ道があり、どちらを選ぶかでこの仕入税額控除の扱いが大きく変わります。
- ゼロ税率にすると、売上に消費税はかからない一方で、仕入で払った消費税は差し引けるため、食品を扱う事業者では税金の還付が常態化します
- 非課税にすると、仕入で払った消費税が差し引けなくなり、そのぶんが事業者のコストとしてのしかかります
つまり0%は、単に「税率の数字がゼロになる」だけでは済まず、事業者の納税計算の構造を作り変える大仕事になるんです。その点1%なら、「課税取引」という今の枠組みのまま税率の数字を変えるだけで、仕入税額控除の計算もこれまで通り回ります。レジという現場の事情と、税法の計算構造の事情──その両面から見て「0%より1%が現実的」というのが、税理士としての実感です。
なお、この減税は「給付付き税額控除」という新しい仕組みが導入されるまでの、つなぎの措置と位置づけられています。
1%と10%では、支払額が全然違う
「たった7%の差でしょ?」と思うかもしれませんが、毎日の食費で考えると大きな差になります。
たとえば、毎月の食料品の購入額が税抜80,000円のご家庭の場合。
- 今(8%):消費税は月6,400円
- 1%になったら:消費税は月800円
月5,600円、年間だと約67,000円の負担減です。報道でも、標準的な世帯で年7〜8万円程度の負担減という試算が出ています。
そしてもうひとつ大事なのが、「1%になるもの」と「10%のままのもの」の差が今より大きく開くこと。今は8%と10%で2%の差ですが、これからは1%と10%で9%の差。「どっちに当てはまるか」で支払額がはっきり変わる時代になります。
ここからは、その紛らわしい線引きを具体例で見ていきましょう。
※線引きのルールは、今の軽減税率(8%)の区分がそのまま使われる前提で書いています。
例①:テイクアウトと店内飲食──1,000円のお弁当で90円差
軽減税率の対象になる「飲食料品」から、外食は除かれています。つまり──
- お弁当を持ち帰る → 飲食料品なので1%
- 同じお弁当を店内で食べる → 外食なので10%
税抜1,000円のお弁当なら、持ち帰りは1,010円、店内で食べると1,100円。その場で食べるかどうかで90円の差です。今の差は20円(1,080円と1,100円)ですから、差が4倍以上に広がります。
コンビニのイートインコーナーも同じ理屈です。レジで「店内で召し上がりますか?」と聞かれたときの答えで税率が変わる──軽減税率が始まったときに話題になった「イートイン問題」が、もっと大きな金額差で再燃するかもしれませんね。
ちなみに、そばやピザの出前・宅配は1%(単なる飲食料品の譲渡だから)、パーティー会場などに出向いて調理・給仕をするケータリングは10%(サービスの提供だから)という違いもあります。
例②:オロナミンCとリポビタンD──「薬か食品か」で変わる
見た目はそっくりな栄養ドリンクでも、税率が分かれます。
- オロナミンCなどの炭酸栄養ドリンク → 清涼飲料水(=食品)なので1%
- リポビタンDなどの栄養ドリンク → 指定医薬部外品なので10%
軽減税率の対象になる「飲食料品」は、食品表示法に規定する「食品」のこと。医薬品・医薬部外品はこの「食品」に含まれないため、対象外なんです。
ドラッグストアで隣同士に並んでいる商品でも、ラベルに「清涼飲料水」と書いてあれば1%、「指定医薬部外品」と書いてあれば10%。同じ「元気を出したいとき」の1本でも、税率は別々です。
例③:みりんとみりん風調味料──「お酒かどうか」で変わる
料理に使う「みりん」も、実は分かれ目があります。
- 本みりん → アルコール分が約14%あり、酒税法上の「酒類」なので10%
- みりん風調味料 → アルコール分1%未満なので食品として1%
軽減税率の「飲食料品」からは、お酒(酒類)も除かれているからです。同じ棚に並んでいる料理用の調味料なのに、9%も税率が違うことになります。
同じ理屈で、ビールや日本酒、ワインは10%のまま。一方で、ノンアルコールビールや甘酒(アルコール分1%未満)は1%です。
なお、「料理酒」は塩などが加えられていて飲用できない「発酵調味料」として売られているものなら、酒類に当たらず1%側になります。ラベルの表示、見比べてみると面白いですよ。
そのほかの「へぇ!」な線引き
- 水道水は10%、ミネラルウォーターは1%──水道水はお風呂や洗濯にも使われるため、「飲食用」とは言い切れないからです。
- おもちゃ付きのお菓子──税抜10,000円以下で、食品部分の価額が3分の2以上を占めるものは、全体が1%になります(一体資産のルール)。
- 果物狩り──味覚狩りの入園料は「サービス」なので10%。ただし、採った果物を別料金で購入して持ち帰る分は1%です。
事業者の方へ:準備しておきたいこと
飲食料品を扱う事業者の方は、実施が正式に決まったら次の対応が必要になります。
- レジ・会計ソフトの税率設定の変更(freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計は自動対応が見込まれますが、設定の確認は必要です)
- 請求書・レシートの税率区分の確認(インボイスの記載税率も1%対応に)
- 価格表示の見直し(税込価格の付け替え作業が発生します)
また、飲食店にとっては「店内10%・テイクアウト1%」の差が大きくなるため、テイクアウト需要が今より強まる可能性があります。メニュー構成や販売戦略を考えるうえでも、動向をチェックしておきたいところです。
まとめ
- 政府は2027年4月から飲食料品の消費税率を1%に引き下げる案を検討中(2年間限定・まだ正式決定ではありません)
- 0%でなく1%なのは、レジ改修が数か月で済むことに加え、消費税の計算の仕組み(仕入税額控除)を崩さずに済むから
- 1%と10%の差は9%。「どっちに当てはまるか」の影響が今より大きくなる
- テイクアウトは1%・店内飲食は10%、オロナミンCは1%・リポビタンDは10%、みりん風調味料は1%・本みりんは10%
- 事業者はレジ・会計ソフト・価格表示の対応が必要に
正式に決まったら、このブログでも続報を解説しますね。
記事の内容は、あくまで一般的なケースです。「自分の場合はどうなる?」という疑問こそ、経営者一人ひとりで答えが変わります。小さなことでも、お気軽にお問い合わせください。


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