「チーズはどこへ消えた?」を読んで、今の私に重なったこと

プライベート

「チーズはどこへ消えた?」、ご存知ですか?

スペンサー・ジョンソン著の世界的ベストセラーで、薄くてあっという間に読めてしまう本です。

登場するのは、迷路の中でチーズを探す2匹のネズミ(スニッフとスカリー)と、2人の小人(ヘムとホー)。「チーズ」は仕事や生活の安定、人間関係など、自分にとって大切なものの象徴。「迷路」はそれを探す環境=会社や社会のことです。

ある日突然、チーズが消える。そこから4人の反応がそれぞれ違って……というお話です。


再読したのは、たまたまではなくて、半ば意図的でした。

「そろそろ動き出さないと」と思いながらも、なんとなく足が止まっていた時期があって。背中を押してほしかったのかもしれません。


読みながら、頭に浮かんだのは、これまで出会ってきた人たちのことでした。

税理士事務所に長年勤めていると、いろんな方を見てきます。

生活の安定のために黙々と働く人。会計ソフトの移行や新しいサービスの導入を勧めても、「今のままでいい」と首を縦に振らない人。変化そのものを、リスクとして受け取る人。

……最初はもどかしく感じることもありました。「なんで動かないんだろう」って。

でも今は、それが当然の人間の心理だと思っています。100人いれば100通りの仕事への向き合い方がある。生活を守るために働くことは、何もおかしくない。そういう人たちを責める気持ちは、今は全くありません。

ただ、ヘムという小人の姿と重なったのも、事実でした。

変化を拒んで、古いチーズステーションにしがみつき続けるヘム。悪い人じゃない。でも、動けない。

もちろん、やりようはあったかもしれません。「こういうサービスを取り入れてみませんか」と声を上げて、職場全体を変えていく道も。

でも、正直に言うと、そうしなかったのは自分です。できなかったのではなく、しなかった。

それより、自分ひとりで、自分のやり方で立ち上がりたい気持ちのほうが、いつの間にか強くなっていたから。


一方、自分はどうだったか。

私はホーでした。

税理士業界は、ここ数年で大きく変わっています。クラウド会計の普及、電子帳簿保存法、インボイス制度……環境が変わる中で、私の中に「もっとこんなことをやってみたい」という気持ちが、だんだん抑えられなくなっていきました。

それでも、なかなか動けなかった。「今の仕事が安定しているし」「開業してうまくいくか分からないし」と、ずっとチーズステーションCの前で立ち尽くしていた気がします。

本の中に、こんな言葉が出てきます。

「もし恐怖がなかったら、何をするだろう?」

怖くなければ、とっくに動いていた。怖いから動けなかっただけで、やりたいことは最初からわかっていたんだな、と。


今、私は2026年初夏の開業に向けて、準備を進めています。

本当にお客様を自力で獲得できるのか。自分なりのサービスをちゃんと提供できるのか。正直、不安はあります。

でも、ホーが迷路に一歩踏み出して、壁にメモを書きながら進んでいったように、私もこのブログに記録を残しながら歩いていこうと思っています。

そしてもうひとつ、決意があります。

独立して税理士として仕事をしていく中で、きっと「チーズがなくなった」と立ち止まってしまう社長さんに出会うと思います。売上が落ちた、時代が変わった、このままでいいのか分からない……そんなとき。

数字を見るだけじゃなく、一緒に迷路の中を考えられる税理士でありたい。立ち止まっている社長を、少し前に押し出せるような存在でありたい。

ヘムだった自分を責めるのではなく、ホーになれた経験を、誰かの役に立てたいと思っています。

私なりのチーズを探しに、思い切ってチーズステーションを出てみます。

チーズがどこにあるかはまだわからないけれど、動かないよりは絶対にいい。

そう信じて、進んでいきます。

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